ひどいわ。誰が事故を起こしてもおかしくないのに。
ひどいかどうかなんて、どうでもいいのよ・・・
・・・大事なのは結果を出すことだけ。
最後尾でスタートして、どうやって勝てっていうの?無理だわ!
確かに勝てる可能性は低いけれど・・・
・・・とにかく最終コーナーまで頑張るわ!
実のところ、男たちはね、自分たちよりも速い女がいるのが気にくわないんだわ!
それほど速く走れればいいんだけど。今のところ、私には奴らが気を悪くするほどのスピードは出せていない。
まあね・・・
ところで男といえば・・・
ああ、やっと来た…ほら、入ってらっしゃい!
やあ、ジューン・・・ミリ・・・久しぶりじゃないか?元気か?
お兄ちゃん?!
いったい・・・どこで・・・どうしてたの・・・?
居所を見つけるのはそう難しくはなかったけれど、それよりも、ここに来てもらうよう説得するほうがよっぽど大変だったわ。
ま、お二人にはいろいろ話もあるでしょう。私は失礼するわね。また後で!
元気?
うん、なんとかやってるよ・・・お前はどう?
このところあまりぱっとしないけど。
俺の記憶では、お前はいつもこんなだったっけな…ぴんと張りつめた弓みたいに、いつでも矢を飛ばせるような緊張感がいつも抜けない!
そうよ。もう行かなくちゃ…会えたのはもちろん嬉しいけれど、行かないと・・・
そりゃそうだ、レースがあるんだものな。俺もおいとまするぜ。おい・・・
「会えて嬉しかったぜ・・・頑張れよ・・・諦めるんじゃないぞ。巨人の廃墟でのエピソードを思い出すんだぞ!」
えっ?!
なんだい、覚えてないのか?5年前だったか、フォーミュラヤングで。すごいレースだったじゃないか! ラストからいきなりトップへ!皆びっくりで、信じられない結果だった!
あのレースなら、よく覚えてるわ…でもあの頃は・・・いつもお兄ちゃんがフォローしてくれてたじゃない!
ああ、いつでもな!
・・・あのころ俺はプライドが高すぎて、お前と話をすることはなかった、でも実は…その後でジューンと知り合ってな、彼女に根気強く勧められたんだよ…で、お前が俺の話をした、と言った。
お馬鹿さん!
俺たち フェルナンデス家の性分さ・・・
おい、急いでるのはわかるが、レースについてお前に話しておきたいアイディアがあるんだ。
言ってよ。でも、手短にね。
時間はかけないよ。
ここがまだフォーミュラニューのサーキットになっていなかったころ、俺もここを走ったことがある・・・
・・・3位になった。俺が表彰台に立った数少ない経験のうちだ。
あのとき、どうして表彰台に乗れたか知ってるか?
ストレートにさしかかった時に、お前のことを考えのさ。負けん気の強いミリだったら、ここでどうしただろう、ってな。
お役に立てて嬉しいわ・・・だけど正直言って、何のアドバイスなんだかちっともわかんない・・・
「今説明するから、そう急ぐなよ。まだ少し時間はあるだろう・・・」
去年の最終戦でも奴らはポールポジションだった。それでも・・・
どうかね、今度のレースはあまりいい予感がしない。
今回は違う。信じてくれ・・・
・・・今回はいただきだ。必ずな。我々が一番速くて覇気に満ちている。
救えるものだけでも救わなければ・・・
・・・レースはまだこれからだ。
他のチームにとってはそうだけど。我々にとっては終わったも同然だ・・・
フォーゴットンパークのときとは違って、イエーガーは追い越しを許しませんでした!」
「そのとおりですね、フランク。見事にコーナーを切りました。」
「しかし、このサーキットには、あちこちにオーバーテイクポイントがありますので、どんな展開でもあり得ます。」
「そう言っているうちにも、後ろでミリ・フェルナンデスがさっそうと追い越しました!」
よし! その調子だ!
・・・先頭の二人の話に戻りますが、イエーガーに続くのはホスです。素晴らしい走りです。ワールドチャンピオンシップでの敗北を弾みとして、巻き返しを図っているようです・・・
そうでないとはいいきれません。たった今ジムが ラグーンシティのラップタイムを更新したところですので。しかしルーカスの反撃を期待します。
不調ではありませんが、イエーガーのタイムにはかないません…いや、そうともいえないです・・・
「フェルナンデスがラップタイムを1秒更新しました!」
マシンのせいじゃないよ。ミリがやっとまともに繰りだしただけさ…あの娘には振り回されるぜ。
やっとマシンの調子がうまく調整されたようだな。もっと早くできていればなぁ!
最初のピットストップ!トラップ・シュルツが止まります!エンジントラブルです。
「フェルナンデスがこの時とばかり、のし上がります。目の前のコースを自由自在に使える状態です。このままいけば、上位に近づけるかもしれません。」
そう、その調子で・・・アクセルをしっかり踏め!
お兄ちゃん、きっと「巨人の廃墟」のときみたいにしてみせるわ!

つづく

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